地域密着型の事例 東村山市化成小学校(平成11年度)

 化成小学校は、地域との交流を中心に、学校へさまざまな専門的知識や技能を持った方が学校教育に参加している小学校です。ここでは、平成11年度の主な授業の様子と、学習環境などについて紹介します。
 それでは、アニメ、「となりのトトロ」の舞台設定として知られている狭山丘陵の近くにある東京都東村山市立化成小学校を見学しましょう。



■学習のようす■

教育ボランティアの方による授業風景「むかしの遊びをおそわろう」(1年生)
 あやとり  あやとり  けんだま  わりばしてっぽう

 おじゃみ  めんこ  ぼうずめくり

教育ボランティアの方による授業風景「教えてもらおう」(3年生)
 地域に伝わる「八坂囃子(はやし)」  手芸  あみもの  ししゅう

 地域には90名の教育ボランティアの方が登録され、学校からの要請に応じて、日程を調整した上で教室などで子どもたちの指導にあたります。
手芸教育ボランティア

ネットワークディベート(5年生)
 ネットワークを利用したディベートです。今回は教室内で反対派、賛成派、司会、審判に分かれて4つのテーマについて意見を交換する形式をとっていました。インターネット上では、遠隔の学校間でも同様のことが可能です。テーマは次のとおりです。
 ・2000円札は必要ない
 ・ガソリン自動車はなくなる
 ・土曜日にも学校に行く日があったほうがよい
 ・学校は、小・中いっしょがよい
 キー入力に慣れていない子どもたちは、少し意見の交換にとまどっていましたが、授業時間内に審判を行っていました。「直接会話形式で行えばいいのでは?」という疑問もありましたが、遠隔の学校間でチャットなどの方法でディベートをする訓練だととらえると、これからの実践が楽しみです。

今、私たちにできること・ボランティア活動の発表(6年生)
 6年生全体が18のグループに分かれ、環境問題や福祉、文化、教育、地域などの問題に取り組み、それらの経験をまとめて発表します。このグループは、「障害者・バリアフリー」について考えそれらをプレゼンテーションソフトウェアを使ってまとめています。
 発表には、コンピュータだけでなく、実際に車椅子を持ち込んで、町の中の小さな段差でも、それを乗り越えるときの苦労などについて実演しています。また、介助者はどのように車椅子を操作すればよいのかということについても、分かりやすく説明しています。このように、実際に知り得た内容を聞き手に分かりやすく説明することをとおして、自分たちのものとして確立しているのです。

お世話になった地域の人にも聞いてもらう
 発表は、単に先生や自分たちのために行うのではなく、調べ活動を通してお世話になったボランティアの人や、保護者に来てもらい、大勢の前で行っています。ボランティアの方からは、間違っている部分の指摘や、正しい方法、内容などについて教えてもらい、より確実なものとして身につけていました。

発表ブース内の展示物
 発表のブースには、掲示物もあります。グラフや写真、イラストなどを利用して分かりやすく整理されているのには驚きました。



■学習環境■

発表の場の設定(体育館)
 体育館を写真のように仕切り、発表ブースを作っています。各ブースのコンピュータは、校内LANに接続され、自分たちが教室で作成したデータなどの利用ができるようになっています。これからは、体育館にもネットワークが必要になるかもしれません。

活動の場の設定(杉の子ホール)
 校舎の中に、オープンスペース「杉の子ホール」が設けられ、そこでいろいろな取り組みができるようになっています。ミニ飛行機の飛ばし合いをしていました。

コンピュータ室
 どこにでもあるようなコンピュータ教室です。子どもたちは自分用のフロッピーディスクなども利用して、コンピュータを自分たちの学びの道具として実に自由に利用しています。

いろいろな掲示
 教室内の壁面をはじめ、校内のいろいろな掲示板に、子どもたちの作品や学習成果などが張り出されています。これは、次回の海外の事例と実によく似ています。


◆教師も発表会◆
教師創出による研究発表会
 子どもたちだけでなく、先生の研究発表もありました。子どもと先生役になって、総合的な学習の時間をどのように組み立て実践してきたのかを演劇風に発表しています。教育委員会や校長先生の挨拶などの、形式的なものではなく、「5人以上寝かせない」を合い言葉に演出された研究発表には驚かされました。
 分かりやすく相手に伝えるという意味では、先生方の取り組みの様子が実によく伝わってきた発表会でした。

発表の演出
 研究経過の説明部分でも、発表に合わせて体育館の2階から、写真のような垂れ幕がタイミング良くつり下げられ、ポイントがよく分かりました。先生全員で聞き手を退屈させない工夫をしているのが伝わってきます。

研究のまとめ
研究の成果(教師として)
 ・総合的な学習の理解が深まった
 ・協力授業の大切さがわかった
 ・視野が広まり、学ぶ意欲が高まった
今後の課題
 ・児童の基礎基本の定着
 ・学んだことを他の学習に活かす
 ・教師の資質をさらに高めていく

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